定期自主検査基準

1.総則

1.1 目  的

この基準は、高圧ガス保安法(以下『法』という)に基づいて、製造設備の自主検査の期限、検査項目、判定基準を具体的に定めたもので、関係者がこの基準をそん守することにより、災害を防止し公共の安全を確保することを目的とする。    

1.2 適  用

この基準は電気通信大学低温室の高圧ガス製造設備に適用する。

1.3 用語の定義

一般高圧ガス保安規則(以下『規則』という)において使用する用語の例による他、次のように定める。

1.3.1 C  E

定置式の超低温液化ガス貯槽、加圧蒸発器、送ガス蒸発器及びその他の附属設備をいう。

1.3.2 貯  槽

貯槽本体、加圧蒸発器、送ガス蒸発器及び及び液充填継手から、液出口弁までの計器、弁類をいう。

1.3.3 ロ−リ−

超低温液化ガスを充填する容器及びポンプを車両に固定した輸送車(移動式製造設備)をいう。

1.3.4 O2 - HIP

セラミック関連の材料を熱間等方加圧する装置をいい、HIPユニットおよびガス集合装置より構成される。



2. 検査項目及び検査期限

検査項目及び検査期限は次の通りとする。


検査項目

検査期限

備  考

 1.周  囲

1  年

 2.外  観

1  年

 3.気  密

1  年

 

 4.バルブ

1  年

 5.圧力計

1  年

 6.安全弁

1  年

 7.温度計

1  年

 8.液面計

1  年

 CEのみ

 9.断熱性能

1  年

 CEのみ

10.不同沈下

1  年

 CEのみ


3. 検査方法及び判定、処置
検査方法及び判定、処置は以下の通りとする。

 区 分

検査 項目

検 査 方 法

判 定 基 準

処  置

1.

周 囲

状況検査
保安距離等
警戒柵、警戒標、通報装置等
火気、可燃物との距離
ロ−リ−停車位置表示

目視により確認する。

保安基準に適合すること。

不適合の場合はすみやかに適合するよう修理、処置する。

2.

外 観
 

外観検査

目視により確認する。

塗装、腐蝕等

腐蝕、塗装の剥離が放置されていないこと。

腐蝕、発錆は塗装等の処置をとること。

損  傷

強度に影響する様な打痕損傷がないこと。

強度を勘案して取替えもしくは補強の処置をとること。

弁の開閉方向表示

開閉方向表示に破損不明瞭のないこと。

不良の場合、予備品と取替える。

ガスの流れの方向表示

ガスの流れの方向の表示に不明瞭のないこと。

不良の場合、表示を書き換える。

基礎及び基礎ボルト

機器の基礎ボルトが緊結されていること。
基礎に亀裂損傷のないこと。

ボルトのゆるみは増締めする。亀裂等は基礎強度を勘案して補修すること。

着霜、結露

CE外槽に異常な霜つき結露のないこと。

霜つきの甚しい場合は断熱性能試験を行い処置をすること。

電源箱

電源箱の破損、腐蝕等がないこと。

不良の場合、補修もしくは取替える。

開閉器及び端子

焼損、ゆるみ等のないこと。

不良の場合、端子の増締め開閉器の取替え等の処置をとること。


3.

気 密

気密試験

常用圧力以上に加圧し、構造的に漏洩し易い部分について原則として石鹸水等の発泡剤を用いて検査する。
特に弁類のグランド部、弁本体のピンホ−ルに注意する。

10分以上保持したあと、石鹸水等の塗布により気泡の発生を認めないこと。

漏洩の認められる場合はすみやかに原因を調べ処置する。

洩れ試験

現に使用している圧力で行なう以外は気密試験に同じ。

気密試験に同じ。

気密試験に同じ。

4.

バルブ

バルブの作動確認

安全弁元弁、計器元弁を含むすべての弁の開閉操作を行い作動の状況を確認する。

円滑に作動すること。

不良の場合、分解修理する。修理不可能の場合は予備品と取替える。

5.

圧力計

圧力計検査

試験器を用いて、標準とすべき圧力計と零点、常用圧力、最高目盛圧力の3点以上について比較検査を行う。

零点で誤差がないこと。示度の誤差が最小目盛の 1/2以下であること。

不合格の場合は基準に合致するよう調整するか又は検査合格済みの予備品と交換すること。

記録により照合を行う。

ストレンゲージ式圧力計は検定要領に記載された許容値以内であること。

同上。

6.

安全弁
 及び
 安全装置

安全弁検査

試験器を用いて作動試験を行う。

吹き出し圧力は設定圧力の110%以下であること。吹き止り圧力は設定圧力の80%以上であること。

不合格の場合は安全弁の調整を行い再検査する。ただし、調整困難の時は合格済のものと取替える。

安全装置の検査
( O2 - HIP )

電気式安全装置の作動確認をする。

設定した圧縮機吐出圧力により圧縮機が停止する。
炉内圧力過上昇によりヒーター電源が切れ、圧縮機が停止する。
設定された圧力保持圧により、炉内の圧抜きを行う、圧縮機が停止する。

不合格の場合は設定圧力の調整を行い再検査する。ただし、調整困難の時は合格済のものと取替える。


7.

温度計

目視及び計測

1. 記録計温度指示精度の測定

1. WRe 5/26 及び JIS C 1602 に定めるB及びK熱電対起電力表に示す起電力を指示熱電温度計に与え、検定要領に記載された許容値以内であること。

1. 不合格の場合は基準に合致するよう調整するか又は検査合格済みの予備品と交換すること。

2. 設定値での電気信号の確認

2. 炉内、炉壁温度異常上昇によりヒータ電源が切れる。

2. 不合格の場合は予備品と交換すること。

8.

液面計

零点チェック

液面計元弁のうち、均圧弁を開にするか又は本体を取外した状態で零点チェックを行う。

零点で誤差がないこと。

不合格の場合調整するか又は検査合格済みの予備品と交換すること。

充填上限量の明示

目視により確認する。

表示されかつ明瞭であること。

目盛板の充填上限値に赤テ−プ等を張るか目盛板を取替える。

9.

断熱性能

断熱性能試験

次のいずれかによる。
1)貯槽の液量が規定充填量の 1/2以上の場合に内槽圧力を使用圧力に保持し、安全弁元弁、圧力計元弁以外の弁を閉とし昇圧度を測定する。
測定時間は12時間以上とする。ただし液充填後少なくとも1時間以上経過後行うこと。


平均単位時間当りの昇圧度が別表1「CEの圧力上昇限界度曲線」以下であること。


不合格の場合は断熱剤、真空度及びその他故障原因を調査し処置すること。

2)12時間以上送ガスを停止することが不可能の場合は真空度の測定をもって代える。

0.2 Torr 以下であること。

不合格の場合再排気する。

10.

不同沈下

不同沈下測定

貯槽の脚部基準線をトランシット、レベル又は連通管等により測定する。

最大傾斜が 1/200以下であること。

毎年測定を行い、 1/100を越える場合は補修及び沈下防止の措置を計画し速やかに実施すること。


4. 記録及び保管
定期自主検査を実施した場合、その結果を付表1の様式例の成績表に記入し、5年間保存するほか設備台帳に要旨を記載する。